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Vintage No.073 "BELD-MAXWELL"

Vintage No.073 "BELD-MAXWELL"

ケーブル仕様 / BELD-MAXWELL
・4.4mm 5極 トープラ販売製 CINQBES 純銅材 無メッキプラグ
・XXX-C 2pin connector
・ロゴ&イヤーコネクタ アートワーク

 

限定計1本

 

税込特別販売価格:129,800円

 

商品出荷予定日:8/31 - 9/1間

 

※イヤーコネクターの変更可能(パーツ代の追加料金+数日納期が発生いたします。ご希望の際はご購入後にお申し付け下さいませ)

 

シリーズ第73作目は、アメリカを代表する電線メーカー「BELDEN」が、シカゴで歩み始めた創業最初期に位置するPlain Enamel Wireを用いた、極めて特別なヴィンテージ作品です。

 

BELDEN — CHICAGO, THE BEGINNING OF AN ELECTRICAL AGE

20世紀が始まったばかりの1902年、イリノイ州シカゴ。

 

まだラジオ放送も家庭用電化製品も本格的には普及しておらず、電話と電力網が巨大都市の神経のように伸び始めていた時代に、Joseph C. Beldenは「Belden Manufacturing Company」を創業しました。

 

BELDEN公式史によれば、当時26歳だったJoseph Beldenは、電話機器メーカーの購買担当として働いていました。しかし、電話交換機のコイルに必要な高品質のシルク絶縁マグネットワイヤーが慢性的に不足していたことから、自ら電線を作る道へ進みます。

 

製造を担ったのは、電線製造の知識を持つAlbert Beutler。Josephが経営を、Beutlerが工場を担当するという小さな組織から、BELDENの歴史は始まりました。

 

当時のシカゴは、まさに第二次産業革命の巨大な実験場でした。

 

鉄道、製鉄、機械、電話、発電設備が集中し、街には架線と電線が張り巡らされていく。Western Electricをはじめとする電気・通信産業もこの都市に根を張り、電気という新しいエネルギーが、工場からオフィス、そして家庭へと入り始めていました。

 

その中で電線は、単なる銅線ではありません。

モーター、電話交換機、ベル、発電機――新しい時代の機械に生命を与える、文字通り「神経」そのものでした。

 

BELDENが創業時に手掛けた中心製品も、電話交換機のコイルに使用するMagnet Wireでした。しかし、当時の絶縁線は現代のような均質なポリマー被覆ではありません。

シルクや綿、そして黎明期のエナメル絶縁技術を用い、細い銅導体へいかに薄く、均一に、耐久性を持たせて被覆するか。その仕上がり自体が、メーカーの技術力を示していた時代です。

 

BELDENは創業後、絶縁線の耐久性を高める研究を重ね、初期の大きな技術成果としてエナメル絶縁線「Beldenamel」を完成させます。

従来よりも薄い絶縁層によって巻線を高密度化できるこの技術は、モーターの小型化を促し、その後急速に普及するトースター、コーヒーメーカー、ワッフルアイロンなど、初期の家庭用電化製品を支える技術の一つとなりました。

 

つまり、1910年前後のBELDENワイヤーとは、巨大企業となった後の均質な工業製品ではありません。

シカゴで生まれた若い電線メーカーが、電話と電気によって世界が変わり始めた瞬間に、本気で「良い銅線とは何か」を追い求めていた時代の線材です。

煤煙を上げる工場。街を横断する鉄道。レンガ造りの建物。無数のケーブルを差し替える電話交換手たち。

そして、その機械の内部には、細い絶縁銅線が幾重にも巻かれていました。

 

今から一世紀以上前。

まだ「ヴィンテージ」という価値観すら存在しなかった時代に作られ、アメリカの電気文明そのものの黎明を内包するワイヤーがこちらになります。

 

1902-1910’s BELDEN Plain Enamel wire / Solid core

本作に使用したのは、創業の1902年から1910年代に製造されたものと推定されるBELDENの超初期のPlain Enamel Wireです。
(世界的にとんでもなく貴重なものです)

 

木製フランジの外周を金属製リムで補強し、中心部にも金属製ハブを設けた極初期仕様のスプールには、「BELDEN MFG. CO.」「CHICAGO, ILL.」の刻印が残されています。

後年の紙ラベルや樹脂製スプールとは明確に趣を異にするその姿は、電線が現代のように大量規格化される以前の工業製品らしい、重厚な佇まいを湛えています。

 

巻かれているのは、深い赤褐色を帯びた極細のPlain Enamel単線。

Plain Enamelは、油性ワニスなどを基礎とした初期のエナメル絶縁であり、現代のポリウレタンやポリエステル系被覆と比較すると、製造時の塗布や焼き付けに高度な管理を要する、マグネットワイヤー黎明期を象徴する絶縁方式です。

天然繊維を巻き付ける従来方式よりも薄い絶縁層を形成できるため、コイルの巻線密度を高められる一方、導体の細さを保ちながら絶縁の均一性と耐久性を成立させるには、当時として極めて繊細な製造技術が求められました。

 

そして本ワイヤーは、撚り線ではなく、一筋の銅導体からなるSolid Coreです。

その極細単線を一本の太い導体として使用するのではなく、Hot側20本、Cold側20本、合計40本に細分化して束ねることで、線材本来の高い密度感を保ちながら、音の硬さや局所的な強調を抑え、情報の細やかさと音楽的な推進力を両立させています。

 

100年以上を経た線材である以上、状態の選別、被覆の確認、導通試験、一本単位での取り扱いには、現代線材とは比較にならないほどの時間と慎重さを必要としました。

これほどの本数を揃え、実用可能なケーブルとして完成させること自体が、非常に難しい試みです。

BELDENの名を刻んだ創業最初期のスプールと、そこに残されていたPlain Enamel Wire。

それはただ“古いBELDEN”なのではなく、現在まで続く同社の技術思想が、まだシカゴの小さな工場に凝縮されていた時代の痕跡です。

 

ケーブル構成
Hot側:1902-1910’s BELDEN Plain Enamel wire×20, Solid core
Cold側:1902-1910’s BELDEN Plain Enamel wire×20, Solid core
Total 40core, 40strand

 

BELD-MAXWELL's SOUND

一世紀を超えた銅の熱が、濃密な躍動となっていま蘇る。
古きシカゴの電気文明を鮮烈に鳴らす“The Living Current of Chicago”

 

HIGH
決して刺さらず、刺激的な方向へ振れることはなく、それでいてヴィンテージワイヤーにありがちな、上を抑え込んだような天井の低さも感じさせません。むしろ空間は比較的オープンで、自然に上へ伸びていきます。
そこに現代的な煌びやかさが乗るというよりは、あくまで有機的で、滑らかで、柔らかな光を帯びたような感触。

色にたとえるなら、少しセピア。あるいは深いブラウン。しかし、その落ち着いた色彩の中にも精細な情報はきちんと残されていて、消えてしまうことはありません。
角を削ったのではなく、時間を経たことで自然に磨かれたような滑らかさ。そんな、非常に美しい高域になっています。

 

MID-HIGH
しっかりとした存在感。一音一音の分離感が非常に高く、音数が増えても各要素が潰れたり、ごちゃついたりといった破綻がありません。複雑な楽曲でも、それぞれの楽器がきれいに独立しながら、一つの音楽として自然にまとまっていきます。
ダイナミズムにも非常に優れていて、音の強弱が平坦にならず、フレーズそのものがきちんと呼吸している。
特にボーカルには立体感があり、自然と一歩前へ出てくるような感覚があります。不自然に押し出すのではなく、声の厚みや体温がそのまま前へ現れる滑らかさです。

この時代のBELDEN、そして初期Plain Enamel Wireでなければ得られないのではないかと思わせる、繊細さと力強さが同居した音。そこに、このワイヤー最大の魅力を感じます。

 

MID
そしてこのケーブルの核とも言える中域。とにかく存在感が強くて濃厚です。エネルギッシュでグルーヴがあり、音楽の中心そのものが力強く鳴っています。
高密度さだけではなく、そこには人間が心地よいと感じるような、音楽的な温度があります。
聴いていて思い浮かぶのは、やはりレコードの音。良質なアナログレコードを聴いた時のような、音が耳ではなく、直接身体やハートへ入ってくる感覚です。

スペック的なハイファイ感だけではどうにも説明できない。数字では表現しづらいけれど、音楽を聴いた瞬間に「良い」と感じてしまう。その、「人間的な説得力」を非常に強く持っています。

 

MID-BASS
非常にパワフルです。ベースラインはぐいぐいと前へ進み、楽曲のグルーヴを強力に引っ張っていきます。しかし、そのエネルギーが過剰になって全体を支配することはありません。

厚みは十分にあり、力もある。それでいて、音楽全体のバランスは崩さない。このあたりの匙加減が非常に秀逸です。
ベースやバスドラムの存在感がしっかりとありながら、その上に乗るボーカルや楽器を邪魔しない。むしろ中域の濃厚さと一体となって、音楽そのものの生命力を底から持ち上げてくれます。

 

BASS
ローエンドは、必要な深度まで確実に沈み込みます。

100年以上前のヴィンテージワイヤーでありながら、最低域が早々に減衰したり、下支えが希薄になったりする感覚はありません。深い位置にある音圧を静かに保持し、楽曲の土台へ揺るぎない安定感を与えます。

低音そのものを誇張し、量だけで迫る方向ではありません。

沈み込みには節度があり、余分な膨らみを残さず、中低域から連なるリズムの流れへ滑らかに接続します。重さを備えながら反応は鈍らず、次の一音へ移る際にも滞留感を引きずりません。

主張する低域ではなく、楽曲の重心を正しい位置へ据える低域。

長時間のリスニングでも疲労を招きにくく、それでいて音楽のスケールや深みを削がない、成熟したローエンドです。

 

TOTAL SOUND
最初に耳を奪われるのは、中域を中心として凝縮された、圧倒的な熱量です。古き良きアメリカのヴィンテージ機器を思わせる厚い音像と、演奏を前へ押し進める逞しいグルーヴ。そこには、シカゴという巨大な工業都市が電気によって変貌していった時代を想起させる、骨太なアメリカンサウンドが息づいています。

 

一音一音は驚くほど鮮明で、複雑な楽曲でも各要素の位置関係を崩さず、微細なニュアンスまで拾い上げます。それでいて輪郭が硬く尖ることはなく、すべての情報が有機的な質感と演奏の熱へ変換されていきます。
高域には、穏やかな開放感と柔らかな光。中高域には、混濁を許さない秩序と立体描写。中域には、身体へ直接届く実体感と情熱。中低域から低域には、音楽を淀みなく運ぶ弾力と、深い重心があります。

 

全体を包むのは、セピアやブラウンを思わせる古いアメリカの色彩。けれども、それは単なる懐古ではありません。

 

一世紀を超えたワイヤーでありながら、いま聴いても驚くほど鮮烈で、瑞々しい生命感を失っていない。音楽を分析対象として細分化するのではなく、内包する情報のすべてを、一つの大きな感動へと結び直してくれます。

 

濃密でありながら明瞭。逞しくありながら繊細。重厚でありながら、音楽は生き物のように躍動する。
「古い音」ではなく、「時間を超えて生き残った音」。その言葉こそ、本作にはふさわしいのかもしれません。

 

BELDENというメーカーが、電話と電気の未来を夢見ながら「良い銅線とは何か」を追い求めていた創業最初期。その時代のPlain Enamel Wireが秘めていた世界を、現代のリケーブルとして形にできたことを、私たちは心から嬉しく思います。

 

アメリカの電気文明が動き始めた時代の熱を、音楽とともに受け継ぐための一振り。
ぜひ、この特別なヴィンテージ・アメリカンサウンドを、じっくりとご体感ください。

    ¥118,000価格
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